「Under Mythos(アンダー ミュトス)」(PC / Switch)は,2028年の発売を予定しているダークファンタジーJRPGだ。

    画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / かわいい猫の温泉宿。その奥に待つ宇宙的恐怖? 宮路洋一氏&にしだあつこ氏に聞く,ファンと共に作る「Under Mythos」の挑戦[インタビュー]

     本作を手掛けるのは,2026年1月に設立された新会社KADATH(カダス)。「LUNAR」「GRANDIA」シリーズなどをプロデュースしてきた宮路洋一氏が代表を務め,キャラクターデザインに「ポケットモンスター」シリーズなどで知られるにしだあつこ氏,シナリオに「テイルズ オブ ジ アビス」の実弥島 巧氏,音楽に宮路氏の作品や「ラングリッサー」シリーズなどで知られる岩垂徳行氏が参加している。

     こうしたそうそうたるクリエイターたちが集まって作るのは,かわいい猫たちが働く温泉宿を舞台にした,ちょっと不思議なゲームだ。
     主人公は,マザーを探して異界に迷い込んだ1匹の猫。温泉宿で働きながら,訪れる客をもてなしたり,食材や資源を求めてダンジョンを探索したりする。ところが,穏やかに見える日常の裏には,クトゥルフ神話をベースにした恐ろしい世界が広がっているという。

     そんな本作について,東京ゲームショウ2026の会場にて宮路氏とにしだ氏に話を聞いた。
     新会社の設立からゲームの構想,ファンと一緒にゲームを作るという新たな取り組み。そして……猫で世界を征服したい!?

    ※インタビュー前半は宮路氏,途中からにしだ氏が参加する形で行われたかつてのESPのように,クリエイターたちをつなぐ会社を作りたい

    4Gamer:
     まずは新会社KADATHの設立経緯から聞かせてください。「Under Mythos」の企画は,いつ頃から考えていたのでしょうか。

    宮路洋一氏:
     会社を作ったのは今年の1月ですが,こういうことをやろうと考え始めたのはもっと前で,2年ぐらい前かな。
     その頃から,にしださんや実弥島さんたちとお話ししながら,企画を考えていました。

    4Gamer:
     今回はひとつの会社だけでゲームを作るのではなく,さまざまな会社が協力する形ですよね。こうした体制を考えたのは,どのような理由からですか。

    宮路氏:
     僕は以前ESPという会社をやっていましたが,そこで「GRANDIA」をはじめ,「こういうものを作ったらユーザーが喜ぶんじゃないか」というものを作れました。自分自身が「絶対にやりたい!」と思うことも形にできたんですね。
     そして,それができたのは,当時の名だたる開発会社に参加してもらったからなんです。

     それをまたやりたい。もちろん難しいことだけど,実現するために,まずはオリジナル作品を生み出す“核”になるような会社を作ろうと考えたんです。

    4Gamer:
     それがKADATHというわけですね。開発会社というより,企画やプロデュースの中心となるような会社という印象を受けました。

    宮路氏:
     そうですね。どちらかというとプロデュース会社に近いです。
     ただ,企画を考えて外に出すだけではなく,同じ考えを持った人たちと,新しい形の会社にしていきたいんです。

    4Gamer:
     今回もマトリックスやリズ,台湾のiSWEETYなど,国内外の開発会社が協力していますが,こうした会社とはどのようにつながったのでしょう。

    宮路氏:
     それぞれ昔から付き合いがあるところですよ。これからも,たぶん増えていくと思います。
     「オリジナルのJRPGを作りたいんだけど,こういうものを考えているんです」と相談に来る人がいれば,僕らがプロデュースしたり開発者とつないだりする。そんな会社にしたいですね。クリエイターファーストでやりたいんですよ。

    4Gamer:
     開発会社とパブリッシャをつなぐ,コーディネーターのような役割も担っていくのでしょうか。

    宮路氏:
     そうですね。それもイメージしています。
     今日も海外の方々とずっとミーティングをしていたんですけど,海外のパブリッシャやインディーパブリッシャ,資金を出してくれるところ,IPを持っているところ,そういう人たちと日本の開発会社をつないでいきたいんです。

     そこから新しい日本発のIPを,どんどん世界に出していく。それが僕らのミッションですね。

    4Gamer:
     では,参加する各社は具体的にどのような役割を担うのでしょうか。
     会社やスタジオによって,グラフィックスやプログラムなどそれぞれ得意分野が違いますよね。

    宮路氏:
     もちろん,それぞれ得意な分野はありますよ。
     ただ,この会社が得意だからここをお願いしよう,という分担とは少し違うんです。

     それぞれの会社から,オリジナル作品を作りたいというモチベーションの高い人たちに集まってもらっています。
     今回はインディーゲームなので,大規模な開発はやりません。最初は5人とか10人ぐらいからスタートして,そこから作っていく形ですね。

    4Gamer:
     開発の段階に合わせて,各社から必要な分野の人に参加してもらうこともできそうですね。

    宮路氏:
     まさにそうです。各社の優秀な人たちが,必要なときに参加できるようにしたいんです。
     僕の周りにも独立して会社を作った人たちがたくさんいるので,そういう人たちにも声をかけられます。

     インディーだと,小規模な会社でゲームを作り始めても,途中で制作チームがなくなって,開発が頓挫してしまうこともあるじゃないですか。
     僕らの場合は,そうなっても誰かしらが関わり続けられる。そういう意味では,これまでのインディーゲームの会社とはちょっと違うと思います。

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    かわいい猫の温泉宿に,クトゥルフ神話を組み合わせた理由

    4Gamer:
     では,KADATHの第1弾タイトルとなる「Under Mythos」について聞かせてください。ゲームのアイデアは,どこから生まれたのでしょうか。

    宮路氏:
     2年ぐらい前から,クトゥルフ神話を題材にしたゲームを作りたいと思っていたんです。

     その頃,インディーゲームをいろいろ見ていたんですよ。「DAVE THE DIVER」とか「Cult of the Lamb」とか。
     AAAタイトルとは違って,自由に作っているじゃないですか。それでいて,ものすごく人気があるし,さらに売り上げを出しているゲームもある。僕もそういうものづくりをやってみたいと思ったんです。

    4Gamer:
     作り手の個性や面白いアイデアを前面に出したものづくりができて,それが商業的な結果にもつながる。
     もちろん簡単なことではないですが,インディーゲームにはクリエイターにとって理想的な流れがありますよね。

    宮路氏:
     そうそう。それで新しいJRPGを作りたいと思ったんですが,流行っているものや,よくあるものと似たゲームにはしたくないというのがまずあって。 
     そこで何ができるだろうと考えたときに,まず浮かんだのが「Cozy & Crazy」というコンセプトだったんです。

    4Gamer:
     癒しと狂気,みたいなことでしょうか。

    宮路氏:
     そうです。それでにしださんにお願いして,かわいいキャラクターを作ってもらう。でも,実は怖い。そのギャップが面白いと思ったんですよ。

     「Cult of the Lamb」なんかも,キャラクターだけを見るとかわいいじゃないですか。でも,実際にやっていることはかなりクレイジーですよね。
     インディーゲームをいろいろ見ていて,ゲームそのものを真似するようなことはもちろんしないけど,そういう“雰囲気”みたいなところは参考にしました。

    4Gamer:
     これはけっこう本題だと思うんですが,ではなぜ“癒しと狂気”が“クトゥルフ神話と日本的な温泉宿”という組み合わせになったのでしょう。

    宮路氏:
     インディーゲームとして作るなら,日本らしいものを入れたいと思ったんです。
     日本といえば温泉だよね,というのがあって(笑)。

    4Gamer:
     シンプルな理由でした(笑)。でも,こういった作り手自身のルーツや,その土地らしさが表れるのもインディーゲームの面白さですよね。
     では,物語はどのように始まるのでしょうか。

    宮路氏:
     主人公は猫なんですけど,最初は南極のような,吹雪いている場所で目を覚ますんです。

     そこはクトゥルフ神話に登場するような場所で,主人公は「ここはどこなんだろう。マザーはどこにいるんだろう」と思いながら歩き始める。
     すると洞窟があって,その奥へ進んでいくと,なぜか日本の温泉宿があるんですよ。

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    4Gamer:
     唐突だ(笑)。

    宮路氏:
     意味が分からないでしょう(笑)。でも,この意味が分からないところが重要なんです。

     そこで出会った猫についていくと,宿の主人に挨拶しろと言われる。
     挨拶すると,「マザーを探しているなら俺の言うことを聞け」と言われて,そこで働かされるんです。

    4Gamer:
     温泉宿で働きながらマザーを探すわけですね。ちょっと「千と千尋の神隠し」的な感じというか。

    宮路氏:
     そうです。そこは分かりやすく。

     温泉宿にはいろいろなお客さんが来るんですけど,みんなクトゥルフ神話に登場するような化け物なんですよ。
     そのお客さんが温泉に入ると,姿が変異したりして,いろいろな事件が起こるんです。

     それから,温泉宿の外にはゲートがあって,洞窟や宇宙空間,海など,いろいろな場所につながっています。
     普段は宿を切り盛りするために,温泉のもとや食材を集めに行くんですけど,そうした探索のなかで事件が起こり,物語が進んでいくわけです。

    4Gamer:
     温泉宿の運営とダンジョン探索が,物語にもつながっていくんですね。ゲームシステムとしては,どのようなものを考えていますか。

    宮路氏:
     似たようなシステムという意味では,「DAVE THE DIVER」に近いかもしれないです。
     あれも海に潜って魚を捕まえる部分と,帰ってきて寿司屋を経営する部分がありますよね。このゲームも,温泉宿での生活と外に出て探索する部分があるんです。

     ただ,アクションRPGやローグライトというわけではなくて,物語の占める割合が大きいJRPGにしたいと思っています。

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    4Gamer:
     個人的に気になるのが,“癒しと狂気”という二面性です。
     クトゥルフ神話には,真実を知ったことで,それまでの世界の見え方が変わってしまう恐怖がありますよね。
     本作も物語が進むにつれて,どんどん暗い方向へ向かっていくのでしょうか。

    宮路氏:
     まさにその「世界の見え方が変わる」という体験をやりたいんです。

     ただ,温泉宿での生活は,ものすごく居心地のいいものにしたいと思っています。
     そこで働いている猫たちも,めちゃくちゃかわいいんですよ。宿の中で遊んでいるときは,とても癒されるように作ろうとしています。

    4Gamer:
     では,プレイヤーが物語を先に進めようとすると……。

    宮路氏:
     今度はクレイジーな体験が待っているんです。

     でも,ゲームって必ずしも物語を進めなくてもいいわけですよね。
     ずっと温泉宿での生活を楽しみたい人は,そこでまったりしていればいいんです。食材を取りに行って,お客さんをもてなして,みんなに喜んでもらう。そういう生活を続けていてもいい。

     だけど,「その先に何があるんだろう」と世界の秘密をのぞこうとすると,とてつもないことが起こる。
     ダンジョンの奥へ進んでいくと,恐ろしい真実を知ることになるんです。

    4Gamer:
     その物語を,実弥島 巧さんが手掛けられるわけですね。実弥島さんは,どのような経緯で参加されたのでしょうか。

    宮路氏:
     実弥島さんは,にしださんと親友なんですよ。そういうつながりです(笑)。

     やっぱり,そういうつながりって重要じゃないですか。にしださんのかわいいキャラクターを,実弥島さんがどう解釈して,どんなキャラクターにしていくのか。

     本来だったらミスマッチなのかもしれないけど,僕はそれでいいと思うんです。
     かわいい顔をしているのに,心の中にはものすごく暗いものを抱えているキャラクターだっているじゃないですか。でも,その暗い部分に実は悲しい物語があったりする。
     そういうものを描きたいんですよ。ただ単に,かわいいキャラクターが怖いことをするだけにはしたくないんです。

    4Gamer:
     なんというか……そのお話を実弥島さんが書くと聞くと,いろいろ期待をしてしまいます。

    宮路氏:
     そうでしょう(笑)。そこは本当に,実弥島さんの世界を作ってもらいたいと思っています。

     僕が考えるのは世界観や設定,大体の外枠です。それをシナリオとしてどう料理するかは,実弥島さんにお任せしています。
     僕も,どんなものになるのか楽しみなんですよ。

    4Gamer:
     宮路さんが細かく決めるのではなく,それぞれのクリエイターが自由に発想を広げていく形なんですね。

    宮路氏:
     ええ。それは音楽もビジュアルも一緒ですね。
     ゲームを作るときは,それぞれのクリエイターが「これを作りたい!」と思うところを大切にしないといけないんですよ。あまり細かく言いすぎてもダメなんです。
     そうやって作ってくれたものを,うまくミックスするのが僕の役割ですね。

     ……あ,ちょうどにしださんが来たみたいですね。

    「猫で世界を征服したい!」にしだあつこ氏が語るキャラクターデザイン

    4Gamer:
     にしださん,お忙しいところありがとうございます。
     ちょうど今,宮路さんから,クリエイターの皆さんが集まった経緯を聞いていたんです。にしださんは,どのような形で今回のプロジェクトに関わることになったのでしょうか。

    にしだ氏:
     最初は,猫を描こうという話だったんですよ。

    4Gamer:
     猫。

    にしだ氏:
     そうです。猫。かわいい猫を作ろう,というところから始まったんです。
     その段階では,まだ今回のゲームの世界観も,そこまで決まっていなかったんですよ。一緒に何かゲームをやろうかな,というぐらいで。

    4Gamer:
     まずは猫から。

    にしだ氏:
     はい。猫で世界を埋め尽くしたいんです。

    4Gamer:
     ……えっ?

    にしだ氏:
     猫が世界を征服するんですよ。猫派なんで(笑)。

    宮路氏:
     僕ら二人とも猫派で。もちろん,ほかの動物も好きですけど。

    4Gamer:
     (笑)。猫好き同士で始まった企画が,クトゥルフ神話と温泉宿を組み合わせたゲームになったわけですね。
     にしださんは,今回のコンセプトを聞いたとき,どう思われましたか?

    にしだ氏:
     正直,すごくやりやすいと思いました。

    4Gamer:
     自由にデザインできそうだなというところでやりやすい,ということでしょうか。

    にしだ氏:
     それもありますけど……それよりも,自分自身の陰の部分を出せるんだなあってところですね。

    4Gamer:
     陰の部分?

    にしだ氏:
     私は陽よりも陰のほうの人間なんですよ。中二病が治らないまま大人になってしまったので。
     普段はそういう部分を出せないご依頼が多いから,お仕事だと陰の部分を隠しているんです(笑)。今回はそれを出していけるなと思いました。

    4Gamer:
     デザイン的なところだけではない自分自身を出せる,みたいな。
     そういう陰の部分を感じるキャラでいうと,ニャルラトホテプをモチーフにした「ニャル」がいますよね。どのようなところからデザインを考えていったのでしょうか。

    画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / かわいい猫の温泉宿。その奥に待つ宇宙的恐怖? 宮路洋一氏&にしだあつこ氏に聞く,ファンと共に作る「Under Mythos」の挑戦[インタビュー]

    にしだ氏:
     最初にいただいたのは文字情報だけだったんですよ。
     それを見て,私の中から出てきたのがこの形だった,というだけですね。

    4Gamer:
     では,猫の身近なかわいらしさと,得体の知れない存在としての不気味さをどう両立させるか……みたいな葛藤とかはなく?

    にしだ氏:
     そうですね。そんな感じじゃないです(笑)。
     出てきたものがこれ,という感じですね。

    宮路氏:
     あまり細かく説明しないほうがいいのって,こういうことなんですよ(笑)。

    4Gamer:
     先ほどのお話ですね。クリエイターの中から自然と出てきたものを大切にするという。

    宮路氏:
     そうそう。そういうものって,降りてくるんですよ。
     だから,いろいろ言いすぎない。

    4Gamer:
     なるほど。キャラクターは今後もいろいろ出てくるんですよね。

    宮路氏:
     そうですね。実弥島さんも今,シナリオを書き始めているので,それを見たらまた盛り上がると思うんです。
     そこから,もっと暗い方向のキャラクターも出てくるかもしれません。

    ニャルラトホテプ/Nyarlathotep
    彼には決まった姿がない。
    何にでも化け、伸び、形を変える。
    そうやって、世界に混沌を持ち込む。
    He has no fixed shape.
    He becomes anything, stretches, reshapes himself at will.
    And with that, he brings chaos into the world. https://t.co/9aBtjRQQ1G

    — 宮路洋一 / Yoichi Miyaji ? UNDER MYTHOS (@UnderMythos) October 5, 2026猫たちの動きは徹底的に作り込む。サボる姿も見てみたい!

    4Gamer:
     今回はキャラクターのイラストだけでなく,ゲームの中で実際に動く姿も楽しみです。
     モーションについて,こだわりたい部分はありますか?

    宮路氏:
     ひとつ,絶対にやりたいことがあるんですよ。
     温泉宿で働いている猫たちの動きを,ものすごく細かく作り込みたいんです。

     猫ってマイペースに暮らしていて,自由に転がっているのがいいわけじゃないですか。
     だから仕事だってサボると思うんですよ(笑)。そういう余計なことをいっぱいさせたい。見ているだけで楽しくなるようにしたいんですよ。

    4Gamer:
     サボってごろごろしていたり,ほかの猫とじゃれ合っていたり。

    宮路氏:
     そうそう。それを徹底的に作り込みたいんです。

     ただ,全部のキャラクターでやろうとすると,完成まで何年かかるか分からなくなっちゃうので(笑)。だから,動き回る猫たちに集中して作り込もうと思っています。
     ほかのキャラクターは,そこにどんと構えているような形でもいいかなと。

    4Gamer:
     開発規模も考えながら,見ていて楽しい部分に力を入れていくわけですね。

    宮路氏:
     そうです。AIでは作れないようなものをやりたいんですよ。
     猫がサボるっていうのも,AIにはなかなか理解できないかもしれないですから。モーションは,これから本格的に作り込んでいくところです。

    4Gamer:
     にしださんも,デザインしたキャラクターの動きにはいろいろと注文をつけたくなりそうですね。

    宮路氏:
     そこは,にしださんにしっかり見てもらおうと思っています(笑)。

    4Gamer:
     にしださんは,すでに動いている猫たちをご覧になりましたか。

    にしだ氏:
     そうですね。一生懸命働いていましたよ。
     サボる姿まで見られるようになると,ますますかわいくなりそうで楽しみなんです。

    よその犬の首輪が、ちょっといいなと思った。
    ニャルラトホテプも、ペットの邪神を飼っている。
    Walkies
    He thought the neighbor’s dog had a rather nice collar.
    Nyarlathotep keeps a pet too. Hers is an Outer God. https://t.co/1HLvGPKE3m

    — 宮路洋一 / Yoichi Miyaji ? UNDER MYTHOS (@UnderMythos) September 30, 2026クトゥルフ神話と現代のAI。宮路氏が描こうとしている「宇宙的恐怖」

    4Gamer:
     ここからは,もう少し物語の根幹について聞かせてください。
     先ほど,宮路さんが世界観の大枠を作り,実弥島さんがシナリオを考えるというお話がありました。現時点でどこまで構想が固まっているのでしょうか。

    宮路氏:
     ここはネタバレになってもいいんですけど,クトゥルフ神話にアザトースという存在がいるじゃないですか。

     ゲームでは,アザトースがこの宇宙を創った神のような存在で,この世界はアザトースの意識の中にある,という考え方をベースにしているんです。
     さらにそこに,僕なりの解釈を加えようとしています。

    4Gamer:
     どのような解釈なのでしょうか。

    宮路氏:
     ちょっと難しい話なんですけど,量子論的宇宙論や人間の意識と宇宙の関係に興味があるんですよ。

     人間の意識って,そもそも何なのか。なぜ意識があるのか,という問題がありますよね。ちょっと端折った説明になりますが,たとえば,宇宙そのものに意識があって,人間の意識もそこから生まれているんじゃないか,という考え方もあるんです。

     そういう発想をクトゥルフ神話の世界に取り入れたいんですよ。
     つまり,人間が意識を持っているのは,アザトースとつながっているからなんじゃないか,と。神様というよりも,非常に気まぐれなものがこの世界のなかにあるという。

    4Gamer:
     なるほど。人間の意識の根源を神話的な存在と結びつけるという発想は,どこか1990年代のJRPGが描いてきたテーマにも通じる気がします。

    宮路氏:
     もう少し詳しく話すと,今回の物語には,(ハワード・フィリップス)ラヴクラフトの「狂気の山脈」に登場する「古のもの」と「ショゴス」が関わってくるんです。
     古のものが作った文明では,彼らがショゴスを使役しているんですね。
     でも,そのショゴスが知性を獲得し,自らの意思を持つようになったことで,古のものたちに反旗を翻すんです。

     それって,今のAIの問題にも通じるところがあると思っているんです。
     AIがこれからどうなるのか分からない,という不安があるじゃないですか。そういう,今の人たちが抱いている不安や恐怖も描きたいんですよ。

    4Gamer:
     人間が自分たちのために作り出したものが,やがて自分たちの理解や制御を超えてしまうかもしれない。

    宮路氏:
     そうです。そういうものを,このゲームの物語に取り入れたいと思っています。

     「Under Mythos」の温泉宿にも,クトゥルフ神話の世界とつながる秘密があるんですよ。ただ,その秘密も含めて,すべてを説明する必要はないと思っているんです。

    4Gamer:
     はっきりとは分からないけれど,そこに何か大きな存在がある。まさに宇宙的恐怖ですね。

    宮路氏:
     そうそう。何なのか分からないけど,何かがある。
     僕がやりたいのは,そういうことなんですよ。

     そこから先は,実弥島さんに自由にストーリーを作ってもらっています。

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    ファンと一緒にゲームを作りたい。ニャルをより身近な存在に

    4Gamer:
     少し話を戻して,今後の開発体制についても聞かせてください。
     今回,協業パートナーを募集しているという発表もありましたが,具体的にはどのような協力を求めているのでしょうか。

    宮路氏:
     まだ発表したばかりで,開発も始まったばかりですから,もちろん企業の方々にも協力していただきたいです。
     でも,それと同じぐらい,ファンの人たちにも協力してもらいたいんですよ。

    4Gamer:
     SNSやコミュニティなどを通じて,ファンにも作品づくりに参加してもらうということでしょうか。

    宮路氏:
     そうそう。たとえばニャルを好きになってくれた人が,Xにちょっと名前を出してくれる。それだけでも作品が広まっていくじゃないですか。
     それも協力のひとつですよね。

    4Gamer:
     開発スタジオとの協業だけでなく,ファンのコミュニティも含めて,一緒に作品を育てていきたいということですね。

    宮路氏:
     そうです。クリエイターもファンも“推し活”しながら作っていくようなイメージで。

     今,Redditで海外の人たちと毎日話しているんですけど,そのなかでにしださんのキャラクターを本当に好きになってくれて,自分からいろいろ広めてくれる人がいたら,めちゃくちゃ嬉しいじゃないですか。
     岩垂さんの音楽にしても,ある程度できたら先に公開して,そこで盛り上がってもらうのもいいと思うんです。

     そうやって,ゲームが発売される頃には,応援してくれる人たちがたくさんいる状態にしたいんですよ。

    4Gamer:
     インディーゲームでは,開発の早い段階からコミュニティを作り,ファンの反応を見ながら制作を進めるやり方も一般的になりました。

    宮路氏:
     そうなんです。だから,今まで僕らがやってきたゲームの作り方とは,真逆のことをやろうとしているんですよ。

     今までは,ゲームができてから発表していたじゃないですか。
     でも,今回は発表してから一緒に作るんです。ゲームを作ること自体が,エンターテインメントになると思うんですよ。

    4Gamer:
     にしださんが描かれたキャラクターのシールも見せていただきましたが,グッズ展開もゲームの完成を待たずに進めるのでしょうか。

    宮路氏:
     そうしたいですね。これ,人形も作ろうと思っているんですよ。

    4Gamer:
     えっ。私はぬいぐるみが好きなので,ぜひ作ってほしいです(笑)。

    宮路氏:
     そうでしょう(笑)。

     手頃な値段で,持ち歩けるようなものがいいなと思っています。
     好きになってくれた人がキャラクターを身近に置いて,写真を撮ってSNSに投稿してくれる。そういうことを,ゲームの発売前からやっていきたいんです。

    4Gamer:
     推し活だけでなくぬい活も。にしださんも,グッズ展開は楽しみですか?

    にしだ氏:
     そうですね。私もほしいので,いろいろお願いして,あとは宮路さんにやってもらいたいです(笑)。

    取材時に見せてもらったニャルのシール。1枚いただいたので,取材中に仕事用ノートPCにペタリ。貼って応援!

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    4Gamer:
     今回の発表からまだ1週間ほどですが,反響はいかがですか。

    宮路氏:
     Steamのウィッシュリスト登録が,発表から5日間で5000件近くになっているんですよ。アメリカからが30%ぐらいで,日本からが50%ぐらいありますね。

     海外の人たちはRedditですごくいろいろな意見を言ってくれるんです。それも全部見ていますよ。

    4Gamer:
     さっそくコミュニティができ始めているわけですね。そうしたファンの意見は,開発にも反映していきたいのでしょうか。

    宮路氏:
     もちろんです。今の段階だったら,いろいろな意見を参考にして,ゲームの作り方を変えていくこともできるじゃないですか。

     完成してから意見をもらっても,そこから変えるのは難しいですよね。
     でも,今回はこれから作るところなので,ファンの皆さんの声を取り入れながら開発していけるんです。

    4Gamer:
     宮路さんにとっても,これまでとは違うゲーム制作になると思います。大変そうだと感じる部分はありますか。

    宮路氏:
     大変なこと? あんまりないなあ。
     いや,大変なのは大変ですけど,それよりも面白いんですよ(笑)。

    4Gamer:
     にしださんはいかがですか。

    にしだ氏:
     私も面白いな,楽しいなという気持ちですね。
     大変なことは宮路さんに頑張ってもらいますし(笑)。

    4Gamer:
     (笑)。そろそろお時間なので,最後に,お二人から本作を楽しみにしている人たちへメッセージをお願いします。

    にしだ氏:
     まずは,キャラクターを皆さんの身近な存在にしてほしいですね。

     人形を作ったりもしたいですし,そういうものを横に置いて,Instagramに写真を投稿してもらったり。そんなふうに,キャラクターたちを好きになってもらえたら嬉しいです。

    宮路氏:
     僕は,今日ここまで話したとおりです!
     今までのゲームとはちょっと違う,癒しと深淵の世界を作りたいと思っています。楽しみにしていてください。

    4Gamer:
     ありがとうございました!

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